公募 芥川龍之介「蜜柑」を描く展

受賞者発表

今回全国から306名の方から341点の作品ご応募いただきました。
審査員による厳正なる審査の結果、12作品が一次審査を通過し入選。
入選作品のうち受賞作品はこちらのような結果となりました。

大賞

- 該当なし -

審査員特別賞受賞者(4名)- 選考評 -

志茂田審査員特別賞

松江比佐子

名作短編「蜜柑」の見せどころ場面の絵画化ということになれば、愛読者が一目見て納得できるものがないと意味がありません。主人公とその3人の子供たち、向かいの座席の男性、それ以上にミカンはとりわけ大事な核になっています。この作品は描くべきものを大胆に表現できていて「蜜柑」を読み返したくなりました。舞台になった時代のモダニズムの感覚も嗅ぎとることができ、現代アートの手法も巧みに取り入れられています。

志茂田景樹

小木曽審査員特別賞

方 圓

公募芥川龍之介作「蜜柑」を描く展の審査をするにあたり、何度も本作を読み直し、「私ならどう描く」かという作家の目線をまず持ってみた。その視点と合致するものや、期待を良い意味で裏切るものなど様々であった。また表現技法も様々で、困難な作業となった。その中で私が審査員特別賞に選んだ作品は、柔らかい日本画独自の世界観から、洗練された構図、画面に張り詰めた緊張感で私を魅了してくれた秀作である。

小木曽誠

塩谷審査員特別賞

KODA YUHO

一つの物語から得られる、各々のイマジネーションを楽しみながらの審査となりました。惜しくも選外となった作品の中には、絵画表現力は未熟ながら、発想の豊かさにおいて感銘を受けるものもありましたが、大変な厳選のため入選がかなわず残念です。さて私の審査員特別賞とさせていただいたKODA YUHOさんの作品は、墨をベースに抑制した色彩の扱いに画品があり、子供たちの動きのあるデッサンも魅力的です。姉弟とも顔の表情がうかがえないことも逆にイメージを喚起し、物悲しくも美しい情景を表出していました。

塩谷亮

御子柴審査員特別賞

今泉心

今回、選考の根拠となるものは、この名短編のどの場面(蜜柑、娘、子供達、私、夕刻時の汽車、時代考証等)を感動を持って描いているかが私のチェックポイントでした。今泉心さんの作品は、夕映の中、娘を見送るあどけない子供達の姿やそれに応えるよう娘が笑みを持って汽車窓から子供達に蜜柑を投げる両の手の表情が絶妙に描写されています。将に名作に相応し栄えある場面となっていました。

御子柴大三

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